コラム 『白ヒゲの言いたい放題』

No.24 学問の自由考

日本学術会議会員候補6名除外の報を見て、とうとうここまで来たかと空恐ろしくなった。ここ20年位、段々じわじわと来つつあると不安には感じていたが、現実となるのは私が眠ってからだろうとも思っていた。今回除外された方々は、政策に異を唱えた社会学政治学の大家達である。野党がこぞって採り上げているが、国民一人一人の心の中や頭の中に手を突っ込む行為であり、これが通れば隣の覇権主義国家と同じ方向に進むのではと危惧するところである。  
今は亡き私の恩師は、私が地方病院の院長に就任した時に祝いの言葉ではなく戒めの辞を下さった。「人間、十人いれば顔や貌が十色であるように心も皆違う。お前と同じ意見の者がいたら抱き合って喜べ」と。また「会議は出来るだけ揉めるほど後がやり易くなる」とも。今回の政府は、現政権の考えを学者にまで押し付けようとする敗戦以前の政府に戻りつつあるのでは?学術会議のような団体は、時の政権や社会、特に権力者達にとって耳障りな、非常識、不見識な意見も出すのである。ガリレオやマルチンルター、ケインズ、マルクス、レーニンもそうだった筈である。それが社会や国家、人類を進歩させてきたのは歴史が証明している。  
また、学術会議側の反応も私には腑に落ちない。一括して推薦名簿を出したのであれば、6名が駄目なら他の推薦者全員も辞めるというのが筋であろう。学者馬鹿なのか御用学者的模範生の集団なのか?喧嘩の仕方は学ばなかったのだろうか?次は報道の自由であるが、こちらは既に終わっているか?  
今回の騒ぎで"ご飯論法"なるものを知った。病院でしばしば聞こえ得てくる会話。「今日は胃カメラですから、ご飯は食べないで来ましたね」「はい。パンだけにしました」

 

 

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