トリプル改定はトリプルアップしか
来年4月の診療報酬改定は6年に1回の介護報酬との同時改定、障害福祉サービスも加わりトリプル改定である。
900万人もの方達が働く職場の賃金が国の政策で決まる公定価格である。それがどうなるかは医療界は勿論、医療関連産業や、ひいては消費にも跳ね返り景気への影響も少なくない。医療経済実態調査結果も発表されたが、予想以上に悪い。コロナで疲れて仕事が出来ないのか患者数も減っており、供給側はナースの離職や職員の感染でフル稼働出来ない所もかなりあり、それも経営を厳しくしている。経営悪化の要因は一番目に患者の減少。少しずつ回復も見られるが戻りが鈍い。また感染症などはセルフメディケーションやワークライフバランスで無理をせず、風邪を引いてもすぐに休んで肺炎での入院は少ない。光熱費の高騰はかなり厳しく、LEDに変える動きが進んでいるが、それでも追い付かない。病院が使う物も2024年問題の輸送費の高騰、なかでも食材は殆どの物が上がっている。30年以上も据え置きの入院時食事療養費は大幅に上げないと契約業者「ホーユー」に続く廃業が起きる水位である。またサイバー対策のIT部門は高給で人材の奪い合いなので、電子カルテなどを守る人が雇い負けの怖れ。また医療機器の買い替えや建物の修理など新規投資の為には5%位の本体アップが必要である。看護師の処遇改善の継続にも金要りである。
そんな中、財政制度等審議会は下げるべきと提言。経団連は他の産業は物価高を超える4.3%をと言っているのに下げるべきとは。コロナの補助金で黒字なのでという理由。補助金はそれは一部の病院の一時期のみ。瞬間風速的なので、やはり永続的に見込める入院基本料など、ベースとなるものを上げ担保すべきである。病院という社会的共通資本の重要性を今回の新型コロナパンデミックで、この国は再認識した筈なのに「喉元過ぎれば熱さを忘れる」財政審の“ノーテンキ”には呆れるばかりである。こんな人を選んだのは国民ではなく財務省だから当然とは言え寂しい限りである。
次の第11回研究会、2月10日(土)京都リサーチパークの時には、改定率は決まり細部への検討も大詰めの頃になっていると思うが、財政審の敷いたレールから外れた改定になっている事を切に願っており、新春の美酒を飲みたいものである。やけ酒は御免被りたいを切に願うものである。