コラム 『白ヒゲの言いたい放題』
No.47 第9回研究会を終えて
当LMCは創立5年目を迎え、去る1月21日京都リサーチパークサイエンスホールで「第9回研究会」が開催された。テーマは医療とDX。基調講演にはコロナ疲れが目立つ今、コロナの総括をと尾身茂先生に。また、今回のパンデミックで際立って遅れが目立ってしまった我が国のデジタル分野、医療DXやPHRなどの基盤整備に東日本大震災以前より取り組んでおられる田中博先生にお願いした。詳細はYouTubeや病院新聞などでもご覧いただきたい。
尾身氏の講演では「第1波の時の厚労省の会議では大学の部活のように鉛筆を舐めながら資料をFaxで送信を」と。私はボールペンなので舐めないが耳の痛い話。まだまだアナログ状態だったのがよく判る。お隣の台湾や南朝鮮とは周回遅れ、中・米の背中が見えないとの私の推察通りだった。田中氏は、電子カルテの一次利用や二次利用だけでなく三次利用までやれると抗生物質による医療の一次革命、分子標的薬による二次革命に次ぐ三次革命に繋がるとの持論を。さらに稀少難病にもと。
吉原博幸先生からは“1000年カルテ”の進捗状況。我が国のDXの遅れは個人情報保護の厳しさがあると指摘。本人同意には死亡や転居、認知症などネックの原因も。黒田知宏先生は、京大病院での医療DXを中心に国立大学附属病院の状況、電子処方箋やマイナンバーの話とサイバー対策を。地域医療の報告は松前町立松前病院長の八木田一雄先生。医師5人で北海道南渡島医療圏最南端での医療、研修医や看護師募集の工夫などの御苦労を。島根大学地域医療センター長の白石吉彦先生には隠岐島前での医師確保を。プレゼンテーションや情報発信はその分野の準グランプリ。交通不便の立地でもやり方次第、と成功例を御報告いただき参加者も感動。天草市病院事業管理者の竹中賢治先生からは、天草市にある4つの市立病院を統廃合せず機能分化と連携、ダウンサイジングで地域医療構想重点地域指定を得た経緯をお話いただいた。
国会議員の先生方のうち川田龍平先生は体調不良のためZoomで参加され、他の先生方も国会開会中のためビデオメッセージでの参加となった方も多かった。現地参加の日本維新の会京都5区支部長井上一徳先生は、防衛省OBの立場からコロナで薬品やPPE、更にはロシアのウクライナ侵略で食糧の備蓄が安全保障上重要と。繁本護京都2区自民党支部長は、化石燃料より水素が日本ではベストでSDGsのCO2ゼロや資源を巡る国際紛争防止にも役立つと。お二人とも舞鶴や北海道東勤務の経験も踏まえ、東京一極集中を強く危惧し、その傾向の加速を憂慮し国政への復帰を誓われた。会場参加者も大きな拍手で応えた。
今回の研究会には御夫妻で参加された方も3組あり、そのうち2組は旦那さんか奥さんも討論に加わっていただいた。また、医療DXということもあり川崎医療福祉大学医療福祉マネジメント学部医療情報学科学科長で診療情報管理士会前会長の阿南誠先生にもコメントをいただいた。先生は学生1名と教え子の診療情報士(会員)も一緒に御参加いただいた。この分野にもNPOとして注力していきたいので感謝感謝である。最後に、三浦市立病院総長の小澤幸弘先生から2年延びている「第3回地域交流会」は2月25日に、第4回は八幡平市病院事業管理者の望月泉先生のお世話で10月14日に開催予定とのアナウンスがあり幕を閉じた。中締めは乾賢一京都大学名誉教授(前学長)が「次回9月16日にも再会を」とのエールで締めてくださった。
3年振りに同じ会場の宴会場で行われた意見交換会は、中野一夫理事の知人で沖縄から駆け付けていただいた島唄歌手片岡さんの三線に乗せた唱声の後、小牧市病院事業管理者末永裕之先生の乾杯挨拶に始まり、北海道や九州、四国からの参加者や初出席の方を中心に近況報告、癸卯の年の抱負、この会への注文などを御発言いただいた。医師以外の多くの方々からも御意見をいただき、討論の時間が短く心残りであったことを補うことができた。
会に先立ち午前中に開催された評議員会では、存在価値を高めるために他の団体との連携、学会発表をもう少しやるべきなどの御意見、介護をもう少しテーマに入れるべき、といった多くの建設的御意見をいただき、早速2月の会議ではその方向で取り組みを始めたところである。反省点としては、1月の開催は他の団体の新年会と重なり、特に政治家の皆様は挨拶回りで京都へは行けないと…。当法人の事務局も9月の研究会から間隔が短く正月休みも重なって準備が慌ただしいと。それらの御意見を踏まえ、来年は2月11日を仮に予定。また今回、メールが届いていないとか後で知ったとかの御意見、苦情が多くあり、過去にあまり参加していない方々には往復葉書でのお知らせも検討中である。
今回の参加者は現地出席112名、WEB参加106名、合計218名であった。ウイズコロナを先取りした第9回であったが、第10回記念研究会は更に多くの方々に御参加いただき、よりレベルの高い会にしようと役職員一同念じているところである。第9回研究会参加者の皆様方、事務局始め関係者の方々、本当にありがとうございました。次は人数無制限になることを!!